35歳からのほにゃらら

人生尻上がり

デービッド・アトキンソン氏について思う事。

数年前に、仕事でとても歴史のある寺を担当したことがあった。

とても有名な寺だし、坊主丸儲けなんて言葉もあるくらいだから、さぞかし儲かっているのだろうと思っていたのだが、その実は債務超過状態で、資金繰りカツカツ状態であった。

 

そこで寺の経営みたいのものに興味が湧き、いろいろ調べているうちにデービッド・アトキンソン氏を知るに至る。

 

ちょうど、インバウンドが盛り上がり始めたこともあり、アトキンソン氏の提唱する日本再興の戦略とも合致していた為、脚光を浴びていた。

 

当初は文化財を軸にしたインバウンド戦略の人かと思っていたが、生産性向上も提唱しており、最近はこちらの主張でよく目にする。

 

要するに「日本は生産性が低いから成長しないんだ!」「中小企業の生産性が低いから、ここを上げていかないといけない」「そもそも少人数経営で生産性が上がるわけが無いので、もっと集約していくべき」ということなのだと理解しており、至極もっともと思っているが、中小企業の生産性が低いことを指摘している為か、敵も多いようで、Youtubeなどには氏を批判する動画が結構上がっている。

 

アトキンソン氏の主張が好きな為、関連動画は賛否両方見るようにしており、双方一理あるなとは思うが、アトキンソン氏は冷静にデータで示しているのに反して、反対意見はなんとなく感情的に氏の人格を否定している感じがしており、主張が素直に入ってこない。

 

反論動画を見ていると、中小企業経営者とか、中小企業診断士とかなので、自己防衛反応なので荒っぽくなるのは仕方無いとは思う一方、彼らの主張も合っている事はあるのではないかと思うので、ちょっと考えてみたい。

 

「中小企業の生産性が低いというけど、デフレで需要が萎んでるのに設備投資なんか出来ない」まあ、それはそうだとは思う。

ただ、会社を経営するのであれば、経営の悪化を全部市場動向のせいにするのはいかがなものなのだろうか?下請け仕事に慣れて、自分で市場を開拓したりする気概を失ってないか?

 

色々な会社を見てきたが、自動車部品業界なんかは結構下請け慣れちゃっている会社が多く、会社の運命を受注先企業に委ねちゃってる会社は結構多い。

 

なんだかんだ技術はあるのに、新商品の開発とか、自社ブランド開発をしていないし、考えもしていない。社風がそうなっちゃっているので、たまに新しいことを考える人がいても、周りがついてこないので実現しない。

 

そんな状態だと、発注元に足元見られて絞られても仕方ないよねとは思う。

 

実際、下請けメインの会社でも、業績の良い会社はある。そういう会社は独自の技術開発しており、下請けでもちゃんと利益を出せる関係を発注先と築いているし、利益が出せるので設備投資も出来るので、色々なサプライチェーンから受注を得てデフレ下でもちゃんと売り上げを拡大している。

 

大企業が中小企業の利益をかすめ取っているという人もいるようだが、それは差別化が出来ていなくて買いたたかれる側の問題で、大企業としては仕入れを安くする純然たる企業努力なのではないかと思う。

 

アトキンソン氏を批判する人って、弱者は強者に庇護される対象って感覚が強いのかな??色々な主張を見聞きしたが、他力本願で自己責任の概念が低いように思えてしまう。

 

菅前総理が『自助・共助・公助』の順番だと言った際に、弱者切り捨てだ!と怒る人が結構いたが、たぶんそういう批判をした人と、アトキンソン氏を批判する人は同じ層なのではないかと思う。

 

自己責任ってそんなに悪いことなのだろうか。